というわけで、東京ミッドタウン・デザインハブの企画展示『アジア・パシフィックの自転車生活デザイン展』でのあれこれ。

会場の雰囲気はこんな感じ。
基本的なリポートはカースタイリング公式ブログを読んでいただくとして、こちらでは個人的なことを。
カースタイリング公式ブログの該当記事はこちら:
http://ameblo.jp/car-styling/entry-10609077990.html物心ついたころから自転車に乗り続け、かれこれ35年も「移動手段」として使ってきた自分にとって、自転車はクルマ以上に身近な存在です。もちろん経済的な理由で自転車以上の乗り物を持てないということも大きいのですが……
それはさておき、最近の健康ブームに付随するように自転車がブームになっているのを見ると、なんでいままで自転車が交通社会で冷遇されてきたのかがますますもって疑問に思えてしょうがありません。
クルマ用の駐車場は整備されているのに自転車とバイクの置き場がない施設が多かったり、駅前駐輪場もロクに整備されていなかったり。停める場所も用意しないでおいて「通行の邪魔だから」と路上駐輪を撤去するとか、なんでここまで冷遇されなきゃいけないのか、と。
最近では都心の繁華街で駐輪スペースを設ける動きが進められているのは嬉しいのですが、まだまだ「こんなもんじゃ足りないでしょ」と思います。かつては「停める場所を探し回らなくて済む」というのもクルマにたいするメリットだったはずなのですが、どうも近年はそれが逆転してしまっているように感じられます。
もちろん、クルマが生活に必要な人も大勢いることはわかっていますし、クルマを使う生活スタイルを否定する気はありません。しかし自治体や企業が本気でエコロジーを考えているのであれば「あえてクルマを持たずにバイクや自転車を使う」人にたいするインセンティブの導入を、真剣に考えていただきたいなあ、と。
なにも「クルマよりも優遇しろ」なんて駄々をこねているわけではありません。ただ移動手段として、対等に扱ってくれるだけでいいのです。歩行者とクルマ、そしてその間に存在するすべての乗り物が公平に扱われてこそ、人にも環境にも優しい街となれるんじゃないかと思うのですが……
とまあ、普段そんなことを考えているわけで、展示で気に入ったのがこちら。

バングラデシュのリキシャー。
80kgもの重量がありながら、変速機はなし。バングラデシュ国内で100万台が走っているそうです。
「人力車」の略語「力車」が訛った名前からも分かるとおり、日本発のプロダクトなんですけどね、これ。なんで海外で重宝されているのに日本では見ることがないのでしょうか。不思議です。
日本の道路環境に合わない? いえいえ、道路が人よりも自動車に合わせて歪んだ進化をしてきたとは考えられませんか? たとえば、電動アシスト3輪車や簡素なEVの短距離用タクシーが安価に使えたら便利だと思いませんか?
このほか、ちょっと興味深かったものを。

1934年のロードレーサー。
ツール・ド・フランスに参加したもので、ぱっと見は現在のロード車と変わらないのですが……

ギアは計4枚あるものの、なんと変速機がない!
使用ギアを変えるにはいったんホイールを外し、チェーンを張りなおす作業が必要だったわけです。
基本的に自分は「機械の構造はシンプルなほど良い」と考えるミニマル原理主義なのですが……これでは変速の手間がさぞや選手の負担になっていたことでしょう。
さて、ポップカルチャーのデザインを纏った車両も。

うお、痛チャリだ!……と思ったのですが、どうも様子がおかしい。
説明版には「大人向け幼児自転車」とあります。
モモイロジテンシャコウボウの製作で、フレームはシュウィン製を使用。
「初めて乗った幼児用自転車。それは、たしかキャラクターものの自転車。ペダルを踏むと、前に進むという感動は今でも忘れることがない。」とあります。
つまりノスタルジーに訴えるグラフィックやそのキャラクター性をデザインに織り込む提案……というものなのですが。
それでなぜキャラクターが『ななついろ☆ドロップス』のヒロインなのでしょうか?
アートであれば架空のキャラクターを使うべきでしょうし、タイアップならば幼児用風に仕立てるのは蛇足というもの。
思索の果てに辿り着いた結論は「痛チャリ風の商品の可能性を探るための実験的提案」というものでした。たしかに「これは痛チャリです」とは誰も言ってませんしね。
しかし、これもまたある意味で痛チャリなのではないか、と考えられるようになったのはしばらく後。
2006年発売の「子供は遊べない」PCゲームのキャラクターを用いた、ということは、数年前にすでに大人になっていて、なおかつ業の深いオタクしかネタが理解できません。
はっきり言ってしまえば非オタク、あるいは自転車オタクにはおよそ理解の及ばないコンセプト。ここでいう「幼児用」をまともに受け取ってしまうと、まったく意図不明なのです。
では、解釈を変えてみましょう。
「幼児」=「オタク趣味に現を抜かす、いい歳した大人」と考えるとどうでしょう?
自虐心に満ちた「痛カスタム」の真骨頂が見えてくるような気がしませんか?
ちなみにこのモモイロジテンシャコウボウ、実態がよくわからないのですが。ググってみたらどうもピンキーストリート内のプロジェクトらしい。なるほどねえ。
そんなこんなで、今回はここまで。
アジア・パシフィックの自転車生活デザイン展特設サイト:
http://pedallife.com/exhibition/index.htmlモモイロジテンシャコウボウ:
http://www.pinky-dw.com/momo/#